必要性
2001年度に日本ロボット工業会によって公表された「21世紀におけるロボット社会創造のための技術戦略調査報告書」では,2012年のロボット市場規模は4兆円近く,そのうち実に3兆円は生活分野,医療福祉分野,公共分野におけるものと予想されている.ところが2013年7月に経済産業省産業機械課が公表した調査結果によれば,国内市場規模の推計値はロボット全体で約8,600億円弱に過ぎず,そのうち6,530億円が従来型産業用ロボットによるもの,1,400億円がいわゆるRT製品によるものである.少子高齢化を背景とする生活分野や福祉分野へのロボットの導入,加えて依然解決の見通しが立たない原子力発電所の廃炉作業など,従来型産業の枠に収まらない作業の自動化への要求は事実として高まっている.ところがそれらの技術の社会への供給規模は,予測の3%に満たない.これは,期待と実状の深刻な乖離であり,ロボットあるいはロボット技術に期待を寄せていたステークホルダーに大きな失望を抱かせ,分野の継続さえ揺らぐ結果になったことを意味する.
従来型のロボットが苦手とする作業を実現し,この乖離を埋めるのは,今ある技術の寄せ集めではあり得ず,まさに本研究会が論じる「開かれた知能」が鍵を握っており、アカデミアが真剣に取り組むべきと考える.