Open Intelligence | 開かれた知能

目的

産業革命以降,機械および制御技術の発展は様々な作業の自動化を促し,生産性の向上に重要な貢献を果たしてきた.ロボットはそのような自動化機械の先鋒として,高速さや精密さなど,ある側面においては人間をはるかに凌駕する能力を持ちえた.しかしこのような能力は,作業に合わせて慎重に設計された「閉じた」状況でのみ発揮できるものであり,「生物のように振る舞う機械」として期待されたロボットは,いまだ生物のように不確かさに満ちた「開かれた」状況で柔軟に振る舞う知能を持った機械たり得ていない.
ロボティック・サイエンス研究専門委員会(2008.4 - 2014.3,委員長國吉康夫)では,様々な学問とロボティクスの融合が活発に議論され,それら接点におけるロボティクスの果たすべき役割が強く認識されるとともに,そのための環境や目標行動が不明瞭な開かれた状況におけるロボティクスの重要性が強調されることとなった.
環境が不明瞭な状況でのロボット制御の重要性はこれまでにも認識はされていた.にもかかわらず,それに対処する手法が確立されていない最大の原因は,この問題を統一的に議論する理論的背景の欠如が大きな問題の一つであろう.これまでのロボティクスはモデルベースの制御理論に基づいているが,環境が不明瞭な状況での制御はその延長線上には考えにくい.開かれた状況,すなわちモデルベース制御のような精密な数学的記述が重要な意味を失うほどの多様性や変化に富んだ環境,あるいはコンテキストとして確かに存在しながらも単純なリファレンスとして定義することが困難な作業目的・行動目的を,どのように表現し,評価すれば良いのか.融合分野・応用分野における具体的な問題を統一的な枠組みに当てはめて議論することができれば,ロボットの知能のための理論構築に繋がるであろう.
本委員会では,工場内に留まらない開かれた世界にロボットを応用するための枠組みを構築する.

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